医師のさまざまな働き方を経験
父から継いだ台東区・入谷のクリニックを、ご主人と2人で経営する土屋佳奈先生。
2020年春には浅草院をオープン。
2つの医院を行き来しながら、小学生の息子と保育園児の娘を育てるママでもある。
「父は70歳で引退すると決めていたので、その2年ほど前から一緒に働きはじめました。当時、夫は大学病院で小児外科医として働いていましたが、クリニックを継ぐ時に合流して『つちやファミリークリニック』を開業しました」
初期研修課程修了後、大学病院の皮膚科に入局。第二子の妊娠中は先輩のクリニックなどでアルバイトをした。医局・非常勤・開業という医師の働き方を網羅している。
「2人目を出産してから2ヶ月で父のクリニックに皮膚科を立ち上げ、働きはじめました。病院の上に実家があるので、母の協力も得ながら子育てと仕事を両立する日々でした」
幼い子どもを育てる女医にとって、非常勤でも大きく収入を落とさず働けるメリットは大きい。ただ、非常勤では患者さんと継続的に付き合う診療は難しい面もある。
「今は父の代から通ってくださる患者さんをはじめ、お年寄りから赤ちゃんまで幅広い年代の方が来院されます。もっとこんな治療を受けたいという要望を吸い上げて、それを実現しやすいのは開業のメリットだと思います」
浅草に分院をオープンしたのも、美容の治療を受けたいという声が大きかったためだという。
皮膚科には、怪我や病気の症状など保険内で対応できるものと、シミやニキビの処置など、美容を目的とするものがある。美容皮膚科は自由診療になるため治療費は高くなるが関心は高い。
土屋さん自身も美容が好きで、さまざまな施術に関心と理解がある。患者さんにとっては、肌の悩みを気軽に相談しやすい存在なのだ。
「入谷で生まれ育ったものの、実は浅草はあまり縁がないエリアでした。美容皮膚科に力を入れる目的で作った分院ですが、保険診療もおこなっているので、子どもさんから中高年の方まで来院されます。世間のイメージ通りの下町なので、保険診療は地元に住まれている方が多いですが、美容診療に関しては最近はご遠方から足を運んでくださる方も増えています。」
クリニックの内装は、保育園の設計に強みを持つ事務所に依頼したという。白い壁にアクセントとしてパステルカラーを用い、診察室の入り口はアールにするなど柔らかな印象がある。
待合室の一画にはキッズスペースを設け、病院という慣れない場所でもリラックスできるように工夫されている。