一般医療に取り組んだ経験は美容医療にも活きる
同じ医師とは言え、専門が異なればゼロベースで勉強のやり直しだ。だが、最初から皮膚科・美容皮膚科に行けばよかったとは思わないという。
「私は麻酔科で6年間勤務し、専門医を取得しました。全身管理・危機管理ができることは大きな武器です。事実、当院はこれまで医療事故がゼロです。看護師は外科や救急外来の経験者が多いので、患者さんの変化をいち早く察知してくれます」
美容クリニックを利用する人が増える中で誤解されることもあるが、美容皮膚科での治療はノーリスクではない。重大な後遺症や、命に関わる副作用が起こることもある。
「私やスタッフは治療中のシグナルを見逃しません。リスクの高い患者さんの見極めも自信を持ってできます。美容皮膚科は『ちょっとした治療』と思われることもありますが、全身に影響が及ぶこともあります。その怖さと、万一の時の対処法を知っていることは患者さんにとって大きな安心だと考えています」
医師がファーストキャリアで美容医療を選ぶことには危機感があるという。何かの専門医を持って、美容の道へ進むことが本人にとっても自信になるのではというのが吉岡さんの考えだ。
「年齢やタイミングなどもあると思いますが、何かしら専門医を取ってから美容医療に進んだほうが、長い目で見ていい治療ができるというのが私の考えです。皮膚科や形成外科ならベストだと思いますが、内科でも眼科でも。専門分野について深く学んだ経験は、本人にとって自信になるのではないでしょうか」
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